| 補習のお時間 |
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こんにちはっ，五月ウサギです．《転調作法》の講義が始まったばかりのところなんですが，三月兄さんの話はムズカシすぎると，いきなり多方面から（そこはかとなく）ツッコミが入ったようで，えーと，補習を行うということになりました． ここはカフェなので，ケーキでも食べながらのんびりいきましょう！ ちなみに私，音楽理論のことはよくわかりません（きっぱり）． というわけで強力な助っ人をお呼びしてます．伯爵，伯爵ぅ〜！ 
ル・モンテズ： Zzz......（熟睡） 
とっ，登場シーンから寝てるんじゃないッ！（汗） テンション下がるじゃないのよっ！ モン：すまんすまん，昨日10時間しか眠ってなくてのー 五月：一日に何時間寝れば気が済むのよっ！ モン：まあまあ，ところで五月殿コーヒー頼めるかい．あとシフォンケーキと 五月：は，はーい．ちょっと待っててね 
だいたい「転調」って何なのよモン：雨の日はやはり熱いブラックコーヒーに限る．ふー． 五月：ちょっと伯爵，私聞きたいことがいっぱいあるんだけど．そもそも「転調」って何なんですか？ その前に「調」って何？ モン：うーん，いい質問だね（汗）．じゃあちょっとこれを聴くのぢゃ ♪ドレミファソラシド〜 五月：ドレミファソラシド〜って聞こえます モン：そうだね，これはハ長調の音階だ．じゃあこっちは？ ♪ドレミファソラシド〜（？） 五月：あれ，さっきとちょっと違うけど，やっぱりドレミファソラシド〜って モン：実はこちらはト長調，ピアノの実音の「ソラシドレミファ#ソ」なんぢゃ．でも確かに，ドレミファソラシドのようにも聞こえるね．どうしてかというと，音階というのが次のようにできているからなのだよ  （ハ長調：ドレミファソラシド．ミ-ファ間とシ-ド間が半音．図はdegienvall氏による） モン：ピアノの鍵盤を見てもらってもわかると思うが，音と音との間隔が均等ではないんぢゃ．青い線で示した半音のところと，赤い曲線で示した全音（＝半音２つぶん）のところとある．これが全・全・半・全・全・全・半の配置だと，順に鳴らしたときドレミファソラシドみたいに聞こえちゃうんぢゃな． 五月：そうなんだー，それが「音階」ってこと？ モン：そうぢゃよ．正確にはこの場合は「全音階」，しかも長調の音階だね．さっそく応用編だが，ということは，この「全・全・半・全・全・全・半の配置」さえ守っていたら，どこの音からスタートしてもドレミファソラシドって聴こえるはずだということは，わかるかい？ 五月：あーなんとなく．でもそれって，私の苦手な♯（シャープ）とか♭（フラット）がいっぱいついちゃうんじゃ モン：まあそうぢゃな（笑），でもそんなに大変でもないよ（degienvall氏による補遺参照）．まあこうして調が決まっていくんだ．その調の音階セットがド（C）から出発していたらハ長調（C-Dur），ソ（G）から出発したらト長調（G-Dur）という風に名前がついている訳だね．「転調」というのは，曲の中でこういう音階のセットが切り替わることなんぢゃ． 
「転調」と「移調」ってどう違うの？五月：曲の中で？！ それって演奏中にってこと？ モン：そう．同じ曲の中でも，ずっと同じ調で書かれているとは限らぬ．例えば，（さっき店の奥で見つけたんぢゃが），これを聴いてみてくれ．後半にかなりわかりやすい転調が出てくるぞ． パパノエル 五月：あー，ほんとだ．前半は何も変わらないけど，２番の後半と，サビのメロディを繰り返すところで，あ，いま何か変わった，ってわかるかも モン：使っている音階のセットを途中で切り替えているんぢゃよ．もうちょっとキツめの転調を含んだものもあったよ．今度はこちらを聴いてみてくれ． 《寒椿》 五月：こ，これ，昔兄さんが私のために書いてくれた曲......．中盤くらいで目まぐるしいほど調が変わって，最後には初めと同じところに戻るのか......．ふーん，よく聴いてみると，けっこう凝った作りになってたんだ... モン：こういう感じのものを「転調してる」と呼ぶんだな．紛らわしいものに「移調」（いちょう）というものがあって，こちらは例えば「もともとハ長調の曲を変ロ長調で演奏したいので，音符をずらしながら譜面を書き直す」とか，そういうことだ． 五月：先生，わかりません！ モン：あーえーと（汗），「移調」は何かの曲を編曲，アレンジするときに，曲全体のキー（音程）を上げたり下げたりして，原曲とは違う調に変更してしまうとか，あとは，トランぺッターがin Aで書かれた譜面を読みながら頭のなかで移調して吹くとか，そんな感じのことで，とにかく「転調」とはまったくの別物なのぢゃ． 五月：うーん，何かまただんだん難しくなってきたような モン：じゃあ今日の補習はここまで（笑）．コーヒーをもう一杯もらえるかのう |
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