◆ <はじめに言葉ありき>......課題発表
こうして第4回勉強会の開幕に無事こぎつけることができるのも,ひとえにメンバーの方々を始め,陰から日向から支えて下さっている皆さまのおかげだと思います.まずは関係者各位に厚く御礼申し上げるとともに,今後ますますご健勝のこと心より祈念申し上げます.
さて,さっそく課題を発表しましょう(提供は三月).
今回のテーマは,これだッッ!
《第4回テーマ素材》
メロディラインと,簡単な和声が示されただけのシンプルな素材です.あとは各アレンジャーのみなさんのお手元で,この素材を自分の色に染めて行ってください.テンポや調性はもとより,拍子,メロディ,和声,ベースラインなども必要に応じて変更して下さって構いません.曲のその他の箇所は,自作するなり,この素材を展開/変奏するなりして作って頂ければと思いますが,曲のファイルサイズが3MBを越えないように気をつけて下さい(越えるとアップロードできません).
今回は「迫力のサントラ系オーケストラ」ということでお願いしたいと思います.劇伴音楽(BGM)でもメインテーマ曲でもOKです.想定していたのは軍勢vs軍勢の<大規模戦闘>で,舞台はフィールド上でも宇宙空間でも,お好きな場面設定を思い描いて下さって結構です.
またこの第4回は,<オーケストラ以外の楽器を追加してもよい>という特殊ルールが適用されます.ドラムやシンセ,あるいはその他の楽器との競演可能性を探るという試みに対しても開かれた勉強会になるでしょう.もちろん正統派路線を目指す方は純オケでもOK,歓迎です.
締め切りは2月13日とさせていただきます.
それではみなさん,派手でかっこいいアレンジを期待しています.バラード厳禁ね(笑).
◆ <総員,戦闘配置に着け>......全アレンジ発表(2009/02/14)
みなさんお待たせしました.いよいよ各メンバーより寄せられましたアレンジ作品の発表となります.バレンタイン発表となったこの第4回,オープニングを飾るのは《もう一人のコルドンブルー》,今回の課題提供者(三月ウサギ)自身によるアレンジです.どうぞお聴き下さい.
「艦長,惑星オデュッセイアの陰に新たな船影を確認! 敵の第二艦隊です!」
「馬鹿な! 第二艦隊はロゼッタ星系侵攻中のはず...,まさか,謀られたというのか......っ!!」
というシチュエーションを激しく妄想して作られたという<イントロダクション>の付いたこの曲をもちまして,第4回勉強会の熱い討論へのプレリュードに代えさせて頂きます.
さてこれから早速,アレンジャーのみなさんの作品を見ていくことにしましょう.
(各メンバーの作品,敬称略,並びはてきとー,サブタイトルは勝手につけました笑)
三月版《青き亡霊船》 |
mp3(通常版/映画版) |
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追加楽器:シンセ(パッド系)
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<本人コメント>
上で紹介された三月版.編成はほぼ純粋オケで,聴きやすくてオーソドックスなアレンジにしたいと考えていました.今回の僕はもうスペースオペラ決め打ちでしたので(笑),以前ハマった某フリーSLGでひとつ書いてみたんですけど,燃えるトランペットを中心とする<金管セクション>の力強いサウンドがセールスポイントでしょうか.
2バージョン用意させていただきました.いずれもミックスはハワード・ショアを強く意識したウェット系.<通常版>では高域をややはっきり残し,DTMオケとしてのバランスと聴き映えを優先させています.でも本当に作りたかったのは<映画サントラ版>の方のリアル志向な「超ウェット」ミックス.空間の充満した感じはありますが,自分ではまだ何かうまくいってないような感じもありまして,みなさんのご意見をお伺いしたいところです.
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(コンセルトヘボウ版) |
mp3ファイル |
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主な変更点:リバーブ
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アムステルダム・コンセルトヘボウ(コンサートホール)のインパルスレスポンスを用いた「映画サントラ版の」改訂版になります.yebisuさんに感謝.
(※2/21ファイル差替え.旧版はこちら)
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(真コンセルトヘボウ版) |
mp3ファイル |
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主な変更点:AutoGainを切る
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対照実験というか参考までに,ホール本来の響きに近いクラシック・エディションをご用意.「通常版の」改訂版という位置づけ.
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evnc_chck版 《逢神即斬神也》 |
mp3ファイル |
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追加楽器:テクノ系ドラムキット
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<三月コメント>
<哀愁疾走系>のテクノオケにチャレンジしたというevnc_chckさん.タイトルは「神に逢うては神を斬る」.柳生家の訓戒に着想を得,例え父子であっても戦場で敵として出会えば情を捨て戦わなくてはならなかったという,厳しい戦国時代に心馳せたそうです.曲は厳粛なイントロに始まり,戦場を駆け抜けるような弦のリフ(短旋律)と四つ打ちのバスドラが曲調をキメた後,哀愁漂うメロディが激しく,そしてしっとりと奏でられるという構成になっています.鎧武者たちが草原で斬り合う映像がぴったりで,途中でワーっというときの声が聴こえた気すらしました.
丁寧なクレシェンド・デクレシェンドがリアルっぽさの秘訣.包み込むような深めのリバーブも心地よいですね.何よりリフがかっこいいので,その時点で「勝ち」だったのではないでしょうか.リズム隊はほぼバスドラのみとやや寂しいものの,「ファンクな」ホーンセクションの合いの手がきっちり決まって,全体にうまく得意分野に引きつけたナイスアレンジだったと思います.
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(改訂版) |
mp3ファイル |
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主な変更点:ドラムス追加
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<アレンジャーより>
アレンジ変更点
ドラムスをベードラ4分のみから部分的にスネア、ハットを入れてます.それにともない少しスピーディーなフィルインもいくつか挿入しました。激しさみたいなものは増したように感じます。
ミックス変更点
ドラムスの音数を増したために少し抜けが悪いのでマスタEQでのLowのブーストを前回版より少し控えめにしています.ブラスのレイヤーをやめて音色をスッキリさせ、リヴァーブを強くして遠鳴りさせています。
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(三訂版) |
mp3ファイル |
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主な変更点:バランス調整
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<アレンジャーより>
弦の音色ごとの発音の立ち上がりが微妙なリズムのズレになっていたのを訂正しました。またドラムスはリバーブを薄くして少し浮かび上がらせました。ブラスもリバーブで篭っていたものを前に出して、そのかわり全体のEQを最初の版に近い処理にしました。
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cresc版 《五丈原に舞う》 |
mp3ファイル |
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追加楽器:無し(=純オーケストラ)
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<三月コメント>
「三国志」のような大合戦シーンを思い描いたというcrescさん.作品は課題テーマが楽器編成を変えて繰り返されるという構成で,静かな導入部から徐々に迫力が増していく仕組みになっています.今回の応募作品の中ではダイナミクスレンジの広さとオーケストレーションの上手さが光ったアレンジでした.転調する二巡目からが勝負の場所.繰り返されるリズムは草原を疾走する騎馬軍団を彷彿とさせ,ラストはまるで映画のCMのようですね.
とにかくバランス感覚に優れているという印象を受けました.サントラ系では他の<硬質な音>にかき消されることの多い木管楽器のやわらかい音が生かされていると思います.合いの手や対旋律(オブリガート)のラインを上手く使っている感じですよね.広がりを感じさせるウェット系のミックスが各楽器をよく馴染ませ,美しいオーケストラアンサンブルそのものに触れられる作品に仕上がっていると思います.
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(完全版) |
mp3ファイル |
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主な変更点:ミックス
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<アレンジャーより>
【改定箇所】
・コードの見直し
・ミックスのやり直し
(リバーブを全面的にやり直し、EQもすこしハイとローを上げました)
・転調後の部分に木管追加
・編成にハープ追加
・曲を少し長くしました
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(ストリングス版) |
mp3ファイル |
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主な変更点:新規アレンジ(オーケストレーションのための参考版)
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<アレンジャーより>
編成は一般的なオケストリング編成です。編成が少ないのと、今回はdivisiを封印したので弦楽器総出でリズムを刻むというわけにも行かず、結果としてアルペジオでリズムを維持する方法を取ることになりました。
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My World版 《獅子の紋章》 |
mp3ファイル |
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追加楽器:無し(=純オーケストラ)
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<三月コメント>
ハワード・ショアを意識しつつ,「ファイナルファンタジータクティクス」のOPのような<始まりと決戦>を描きたかったというMy Worldさん.課題の和声進行を踏まえて奏でられる静かなイントロから徐々に盛り上がりを見せ,金管とパーカッションによる派手なクライマックスへ向います.持って行き方が上手かったというか,渋くてかっこいい曲調の中,勝負を決めに一気に前に出るトロンボーンのフォルテシモが輝いていますね.SRPGや戦術SLGのオープニングが目に浮かぶようです.
発音はドライ,残響はウェットという,特にゲームなどのドライ系サントラオケに親しんでいる方には馴染みのあるサウンドではないでしょうか.編成を薄めにして,その分残響(リバーブ)をきれいに聴かせることに成功していると思います.イントロ部分のシンバルが若干前過ぎる点を除けばバランスも良いですし,高弦や木管がしっかり歌うのも気持ちいいですね.各楽器の特性を生かした「適材適所」の良いアレンジだと思います.
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(第二版) |
mp3ファイル |
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主な変更点:ブレイク後再構築
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<アレンジャーより>
曲の方向性は以前と同じです(笑) オーケストラ特有のダイナミクスレンジを最大限に出しています。あまりの音量変化にちょっとびっくりするかも知れません…ボリュームには気をつけてください…。
yebisu師匠(マテ)に教えていただいたリバーブのテクニックをコンタクトで応用して、音を作ってみました。3MBの縛りを忘れていて曲を長くしすぎてしまい、容量を抑えるためにMP3のビットレートが128kbpsを下回りました(涙)シンバルとか以外にも高音楽器がやばいことになっていますけど、一応15k付近はカットしています。
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(シカゴ響版) |
mp3ファイル |
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主な変更点:バランス調整/ミックス
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<アレンジャーより>
さらに金管を強化してます。可能な範囲でリバーブを強化し、残響時間を調整しました。大オーケストラの厚みと、空間のクリアさを両立した音を目指しています。バターを使用したコッテリオケにしています。最後のモチーフをつかった部分が不評だったので、その部分のオーケストレーションを変えています。
ちなみにシカゴ響っていうのはオーケストラとしての方向性で、厳密にシカゴ響の音をシミュレーションをしたわけではありません(笑)
(註 ※「シカゴ響」=シカゴ交響楽団.世界最強の金管セクションを誇る)
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(BBCフィル版) |
mp3ファイル |
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主な変更点:展開,ミックス等
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<アレンジャーより>
1 前のシカゴ響版の盛り上がり部分以降を修正してみました。
音量差に頼りすぎず、和声と楽器の重ね併せによるダイナミクスを重視し、タムタムのロールの音量を抑えました。でも結局第二版ぐらいの音量のダイナミクスはあります…ので、ボリュームは控えめにお願いします!(笑)
2 楽器の音の溶け合いを重視し、リバーブを調整しました。
以前の金管バリバリはやめ、弦と木管を強化してます。
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Avanjour版 《Angelic Shooter - 撃墜天使》 |
mp3ファイル |
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追加楽器:無し(一部フランジャー使用)
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<三月コメント>
《エンベロープの魔術師》Avanjourさんのアレンジが到着です.上品で遊び心に満ち,ジョン・ウィリアムズのような飛翔感にあふれたその音運びは,メカニックな素材に覆われた惑星表面でスリリングな空中戦を行う,白銀の戦闘機の群れを思わせます.パンの自由な移動が最大の特徴.同じ楽器でも左右はおろか前後にまで音像が動き,次に何時方向から何が飛び出してくるかわからないという,DTMの特権を上手く生かしたとても面白いアレンジになっていると思います.
最小限の編成と空隙を生かしたパン振りで,個々の楽器の音圧を上げることに成功している点も看過できません.リズムによる曲の推進力確保や,楽曲へのメロディの統合という「編曲」上の宿題にはやや課題を残したものの,映画音楽として非常にクオリティの高い,最大級の賛辞を贈られて然るべきレベルの作品に仕上がっていると思います.
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yebisu版 《クリスタル・パレス、炎上》 |
mp3ファイル |
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追加楽器:太鼓隊(民族楽器)
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<三月コメント>
ここでサプライジングゲスト登場.わずか3時間で(!)これを書いてきたyebisuさん.駄目駄目の未完成でミックスもほとんどしていないとのことですが,このクオリティには絶句,どーなってるの(汗).<前夜祭>のモチーフを用いたイントロから「角笛と大地の太鼓」で一気に戦場に連れて行かれるような感じです.僕の中では攻城戦のイメージでした.王都を取り囲んだ十万規模の兵団が,号令とともに城壁へ殺到する姿が見えるようです.
豊かな低音の他にずっと鳴り続ける高弦が緊張感を維持し,また遠鳴りと近鳴りを巧みに使い分けたパーカッションは熟練の技ですね.割ってからすぐ減衰に移る金管は完全にサントラ仕様のチューニング.こういうのは知ってないとできないですよね(笑).さすがに後半やや混乱が見られるものの,透明感のあるリバーブで深い奥行きを「奇麗に」描き切った,いろいろ信じられないレベルの驚愕のアレンジだと思います.
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56版 《真・葵の将軍》 |
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追加楽器:ロック系ドラムセット,ベース
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<三月コメント>
大河ドラマを目指したらいつのまにか「大江戸捜査網」になりましたという56さん.ホルンとトランペットの輝かしい音を軸にした,ビッグバンド風のアレンジになっていると思います.ヒーロー登場を思わせるイントロに続いて,シンコペーションのリズムが曲に推進力を与えていきます.短調の曲のはずなのに,どこかメジャーに聴こえるのもこのアレンジの特徴.さわやかですよね(笑).不利な戦局を一人でひっくり返してしまうような剣豪が,痛快な大殺陣を演じているようなイメージが浮かびました.
打ち込みも芸が細かくて,後ろに引く時はきっちり引くトランペットの献身はお見事です.弦楽器はコードを奏でるだけなら「ありふれた」ポップスアレンジだったのですが,リピート後にちらっと対旋律(オブリガート)に回るのが心憎いばかりの演出でした.ミックスの方はうっすらノイズが乗ってしまったものの音圧も高く,サウンドにまとまりのあるバランスのよいアレンジだったと思います.
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(改訂版) |
mp3ファイル |
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主な変更点:内声,ミックス
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<アレンジャーより>
・冒頭のノイズをカット。
どうも前回はエフェクトをかけた時に生じてたみたいなんで、今回はエフェクトの際の範囲指定をキッチリして回避しました。
・内声の薄さを穴埋め
前半、ホーン部の主旋律にホルンの和声を重ねたのと、弦ではチェロに暴れてもらって(笑)厚みを出してみました。
・ミックスのやり直し
…残念ながらアレンジで力尽きたのと、当方のCubase Essencialでは、エフェクト機能が限定されていて、結局前回と同じ「Sound it!」でやむなくしのいでます…せっかくフリーソフト紹介してもらってたのに、ご期待に添えずスミマセン。。。今回は小さいホールをイメージした音作りに心がけてみました。以下、その際の手順です。(ほとんどプリセットorz)
(1)コンプレッサーで全体の音量を均質化
(2)ゲインで、全体の音量を上げる
(3)そこへ、グライコをかける。(低音域も高音域も強調…みたいな
プリセットを選びました)
(4)リバーブ(上記の通り、小ホールを意識したプリセット、ただ、
少々ティンパニの音が気に入らなかったので、バランスを
最終的に調整して仕上げました。
今回は、前回使っていたエレキベースをやめました。こういうとこでポップスアレンジの常套手段へと逃げてしまった自分が許せず(笑)、このたびはそこをコントラバスとチューバのレイヤー、それにチェロをチョコチョコ絡ませてなんとかリズムの雰囲気を再現すべく、努力してみました。このあたりもご意見・ご指摘いただきたいところです!
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rana版 《戦士の心象》 |
mp3ファイル |
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追加楽器:無し(=純オーケストラ)
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<三月コメント>
期待のニューフェイス,ranaさんのアレンジが到着です.戦士たちの心の移ろう様子をイメージしたということで,まるで早鐘を打つ鼓動のように鳴りつづける管楽器の刻みによって,曲の緊張感が維持されていますね.テーマ課題のピアノ譜に極めて忠実で,純粋に骨格部分での和声や楽器間のメロディの受け渡しを聴いてほしいという,シンプルかつ明確な意図を持ったアレンジだと思います.
流石ウィンドアンサンブルに造詣が深いだけあって,細やかな打ち込みに支えられた<歌う管楽器>のフレージングはお見事.奏者の息づかいが聴こえてくるようですね.終盤はやや失速ぎみになるものの,聴き終えた後に何か「走り切った」ような爽やかな印象の残る,よくまとまった素敵なアレンジだと思います.あとはゆっくりここに対旋律や「合いの手」を追加して,<装飾>を施していくのも楽しそうですね.
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マサト版 《ナーサティアの方舟》 |
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追加楽器:ロック系ドラムセット,各種民族楽器
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<三月コメント>
今回トリを務めるのはマサトさんのアレンジ.宇宙空間での人類と「巨大生物」との壮絶な戦いを描いた,劇伴音楽(BGM)色の強い作品とのことです.課題テーマが展開/変奏されていくという形態を取りつつも,民族楽器のソロをアクセントに,共存する複数の調性や変拍子を駆使した作曲技法的にも非常に高度なアレンジになっていると思います.僕に浮かんだのはなぜかメタリック甲殻類系の宇宙生物だったんですけれど,みなさんは何を思い浮かべたでしょうか(笑).最初聴いた時は,リアルサウンドとこの鬼気迫るような臨場感に目を丸くしました.
音の輪郭をくっきりめに示したドライ系のサントラオケで,なおかつ奥行きを出すことに成功した,とても聴きやすいミックスだと思います.アタック音重視のマルカート系中心で,更にリバーブ成分を有効に聴かせるため休符や早い減衰で空間を確保してあるのも見逃せないポイント.逆にこれが上手く機能しなかった民族楽器ソロ部分には,かすかに違和感が残ってしまったでしょうか.しかしながら全体に繊細さと力強さを感じさせる,見事な作品と言うより他にないと思います.
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(カラヤン版) |
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主な変更点:コンプレッサー
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<アレンジャーより>
●第二版【カラヤン・ミックス】(深い意味はありませんが、目指した方向性として)
ミックスのみ手を加えました。コンセプトは「よりパワフルに」
撥弦楽器の試みや、アドバイス頂いた木管ソロとの絡み、シンセの導入、金物のベロシティなども触ろうとは思ったんですが、そこまで手が回りませんでした。
特にアレンジ面では、かなり戻らないと組み直せない気が・・。
変更点
・各パートへコンプをかける(弦・木管は軽めに、金管には強めに)
・イーリアンパイプのリバーブを深く
・パンを広げる(ホルンは左に、トロンボーンは右に広げる)
・必要に応じてティンパニの低域を更にカット(トコトコした軽めの音に)
・2:00〜、EQの細かい操作(トータルEQの中音域を開け、ホルンを強調)
・その他、EQ、ボリュームの操作
気をつけた点
・楽器が多くなると不明瞭になりがちだったので、できるだけクリアに聴こえるように気を遣いました。
・EQの操作による空気の変化が、極力感じられないように気をつけました。
・いかにも「スタジオでの個別録音」という感じだった第一版と比べると、少しホールっぽい広がりが出たと思います。
課題
・コンプっぽさが出てしまった部分がある
・バストロンボーンの割れた音をもっと近鳴りさせたいが、編成が厚い部分ではうまくいかない
・ちょっと弦が引っ込みすぎたかも
・耳が疲れる
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◆ <総員,サロンに集結せよ>
各アレンジをお聴きになったところで,さっそくサロン(BBS)での意見交換に移りましょう.まずは個別スレッドにて自由にご意見ご感想など述べて下さい.その後もし共通のテーマや課題が見つかれば,<トピック>として取り出して別スレッドで議論を進めることになります.
とはいえ、いつも通りのんびりまったり進めていきましょう.オーディエンスのみなさんの「リスナー目線での」ご意見ももちろん大歓迎です.アレンジャーの方々は,できればひとりひとりが,今回の勉強会ではこの人からこの技を学んで帰りたい,というような目的意識を持ってやって下さい.生産的で活発な議論の場になることを望みます.
◆ <任務完了,これより帰還する>
みなさんおつかれさまでした.ずいぶんと長丁場になってしまいましたが,これをもちまして第4回勉強会の閉会とさせていただきたいと思います.正解と禁則に縛られた画一的な枠組みを離れ,各個人の自由と差異を重視した<開かれた>公共空間の形成を待つというのは,この勉強会が発足当初より理想として目指していた討議形態でもありまして,成熟した議論に発展するにはこれでもまだ時間が足りなかったくらいでしたけれども,限られた時間の中,幾ばくかは有意義な情報交換および交流の場足り得たのではないかと自負しております.
アレンジャーおよびオーディエンスとして参加して下さった方々には,この場をお借りしまして,誠にありがとうございましたと心より御礼申し上げます.
さて,第4回勉強会のエンディングを飾りますのは,evnc_chckさんによるピアノアレンジです.どうぞお聴き下さい.
お見事ですね.明日を見つめる瞳のその奥にある,情熱の炎が乗り移ったかのような,
強く,気高く,そして美しいアレンジだと思います.
(credit:mp3 - 「勘竹庵」(evnc_chckさんblog)
/illustration - Calypso Summer(calypsoさんHP))
第4回勉強会はこれにて終了いたしますが,サロンBBSの方では引き続きのんびりと音楽談義が続けられていきますので,どうかお気軽に顔を出してやってください.
ではまたみなさん,カフェ・ド・ブラームスでお会いしましょう.
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